学生へ伝えたいこと〜高次脳機能障害についての当事者の語り

  • 2022/06/20
  • 看護学部

看護学部の演習科目であるリハビリテーション看護では、廣瀬雅典先生を招聘し、高次脳機能障害について、
“失語”を中心に語っていただきました。

廣瀬先生は、在宅看護学のゲストスピーカーとして、そして実習施設での指導者として大変お世話になってきた社会福祉士です。発症後は退職されましたが、この度は「自分の体験している高次脳機能障害について、専門職の卵たちに聞いて欲しい」と、お声かけくださいました。

講義では、発症当時の状況から現在までの4年間について、ご自分の経験を惜しみなく学生に伝えてくださいました。授業は「失語症があるから、今日は上手に喋ることができるかな。皆さん祈っていてください」から始まりました。開始前は「緊張すると言葉が出てきにくくなる」とおっしゃっていましたが、実際は、時には学生に語りかけ、微笑みかけながら進行されていました。とても静かな語り口調なのに、そこに込められた思いは熱く、講義室の学生の心に、しっかりと届きました。

「病気になる前は、人前で話すのが得意と言っておられたが、今でも得意だと思った」(学生)

「看護師として、対象者の体験や症状を「こうですよね」と決めつけずに関わりたい」(学生)

そして、「もう一度、このような場に立てるとは思っていなかった。私の語りを聴いてくれた学生さん、私を支えてくれる皆さんが、私の希望です」と、講義を締められました。

「わたしたちは、みずからの力によって「縁」そのものを操作することはできない。が、縁づくりの場を演出し、ひろげていくことは可能である。

集いの人間関係はひとえに、この“縁づくり”をめぐるさまざまな知恵に関わっているのである」
(2012年書肆クラルテ出版 井上忠司『縁の人間関係-文化心理ノート』p 16より引用)

体験を聞かせていただけるご縁に感謝し、学生が素敵なご縁を繋いでいけるよう、教育者として演出していく必要性を感じました。

最後になりましたが、NPO法人クロスジョブ クロスジョブ阿倍野から「廣瀬氏応援隊」として駆けつけてくださった、安田正廣氏、三山勝氏、担当社会福祉士の岡田依有氏、本当にありがとうございました。講義終了後の談笑もとても有意義なものとなりました。心より感謝申し上げます。

*講義は講師と学生間に十分な距離をとり、感染に配慮して行っています。

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