リハビリテーション学部学部長の木山博資教授の総説が、雑誌「脳神経内科」に掲載されました。

  • 2025/07/30
  • リハビリテーション学部

本学副学長/リハビリテーション学部学部長の木山博資教授の総説が、雑誌「脳神経内科」に掲載されました。この総説では、線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)での慢性疼痛は、固有感覚の過活動による中枢でのミクログリアの活性化が原因であると考え、この分野の最近の報告をまとめて紹介しています。

木山博資、「ミクログリア活性化による慢性疼痛-固有感覚誘導性疼痛-」、脳神経内科103(1):10-15, 2025

 

線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎では原因不明の疼痛や激しい疲労感、睡眠障害など共通の症状が見られます。これらのうち特に慢性疼痛の原因を明らかにするために、線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎のモデル動物を用いて調べたところ、一部の固有感覚が異常に興奮し、脊髄内でミクログリアの活性化が生じていることがわかりました(固有感覚誘導性疼痛)。本総説では新たな慢性疼痛のメカニズムとして「固有感覚誘導性疼痛」を提唱しています。すなわち無意識下での一部の筋の過緊張が続くと、中枢で固有感覚の伝導路に沿ってミクログリアが活性化し、ミクログリアによる中枢性炎症が線維筋痛症でみられる慢性疼痛の原因ではないかと考えています。さらにこの固有感覚誘導性疼痛は最近国際疼痛学会で提唱されている、組織炎症や神経障害によらない第3の疼痛である「痛覚変調性疼痛」に分類されることも指摘しています。


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