【国際学会発表報告】運動失調症に対する理学療法の有効性を世界に発信 ― World Physiotherapy Congress 2025 にて研究成果を発表 ―

  • 2025/06/13
  • リハビリテーション学部

本学リハビリテーション学部理学療法学専攻の松木明好 教授は、2025年6月に東京で開催された World Physiotherapy Congress 2025 において、**「変性小脳性運動失調に対する理学療法の効果:システマティックレビューとメタアナリシス」**と題した研究成果を発表しました。
本研究は、運動失調症(Degenerative Cerebellar Ataxia: DCA)を対象に、筋力強化訓練・協調運動訓練・有酸素運動・バランス訓練・歩行訓練・日常生活動作訓練などの複合的な理学療法が、その症状改善にどの程度効果を持つかを明らかにすることを目的としたものです(事前登録番号:PROSPERO CRD42024493883)。
18件のランダム化比較試験(RCT)、計315名の患者データを統合し、SARAスコア(小脳性運動失調の重症度を評価する尺度)を主要アウトカムとしてメタ解析を行った結果、全体として理学療法によりSARAスコアが有意に改善することが確認されました。特に、多面的な理学療法プログラム(筋力・協調性・歩行・ADL訓練の複合)やバランス訓練、有酸素訓練は高い効果を示しました。
一方で、振動刺激療法やデュアルタスク訓練の効果については限定的であり、今後の高品質な研究の必要性も強調されました。
本発表は、進行性神経疾患におけるエビデンスに基づくリハビリテーション介入の方向性を示すものであり、今後の臨床応用や研究の発展に資する重要な知見となることが期待されます。

◆ 発表タイトル
Effect of Physiotherapy for Degenerative Cerebellar Ataxia: Systematic Review and Meta-analysis
◆ 発表学会
World Physiotherapy Congress 2025(2025年6月/東京開催)
◆ 研究資金
本研究は四條畷学園大学健康科学研究所の助成(IHSS2401)により実施されました。


学術大会HPはこちら


一覧へ戻る