作業療法士をわかりやすく言い表すと「こころ」と「からだ」のリハビリを行う専門家。「作業(食事や入浴、仕事、遊びなど)」を用いて、身体または精神に障がいをもつ方に、生活に必要な機能や能力を高めたり、障がいが残っても生活しやすいように環境を整えたりする療法です。
作業療法は高齢者から乳幼児まで幅広い年齢層が対象です。病院やクリニック、保健施設、福祉施設にとどまらず地域支援や生活援助の現場においても勤務し、幅広い分野で活動しています。とりわけ、こころの病をケアする手段の一つとして、昨今の複雑化する社会において作業療法は期待されています。
医学の進歩とともに迎えた「人生100年」の現在。病気や障がいなどによる生活上の問題も複雑化し、多様化しています。作業療法士は、こうした時代に対応するべく、身体や心のリハビリテーションだけではなく、障がいなどに合わせた福祉用具や生活環境の整備など、その人らしい生活を実現するサポートを行っています。
作業療法を通して各個人が持っている問題を一緒に考えて解決してくことのできる、広い視野や豊かな人間性を備えた作業療法士の育成に努めます。
作業療法士(Occupational Therapist:OTとも呼ばれます)は、新生児から高齢者までの心身に障がいを有する人々に対して、人間が日常行う作業活動を用いて、「生活の中にある」身辺動作・仕事・遊びを(再び)獲得することを支援します。
一般教育科目を中心に、解剖学や生理学などの基礎医学科目や作業療法の基礎の科目を学びます。
夏と冬に臨地見学実習で臨床場面を見学します。
人間と動植物やロボットがどのように共に生活していくべきかを考えていきます。医療や福祉の中で動物・植物・コミュニケーションロボットなどの新しい分野の可能性について学びます。
病気や障がいを学ぶためには、まず基本となる心身のしくみやはたらきを十分に理解する必要があります。骨格系、関節・靭帯、筋系、神経系の構造について学び、解剖学標本模型を使用した実習を通じて、3次元的・有機的な学習を行います。
臨床医学科目や作業療法の専門科目、病気や疾患を理解し、
障がいとともに生活するという視点を身につけます。
運動学で学んだ知識を、実習を通じて整理・確認します。また、動作分析の基礎的手法を学び、学生相互で被験者になり、日常生活における基本動作を分析。臨床活動における作業療法評価に必要な動作分析の基礎を学習します。
身体障がいを有する人々に対する作業療法評価の方法や技術である、関節可動域測定や徒手筋力テスト、感覚検査、反射検査、上肢機能検査などの基礎技法を学びます。対象者へのコミュニケーションのとり方も学びます。
身体・精神・発達・老年期と様々な領域における作業療法の治療技術を学びます。
疾患に応じた評価方法を臨床実習で学びます。
日常生活活動に対する概念や範囲を学び、それぞれの動作に対し、作業療法の視点からの動作分析を学びます。また、各種疾患別の日常生活に対する工夫や訓練方法を学習します。
発達時期にある子どもの疾患の種類や障がいの特性を学習し、運動面や精神・情緒面に対する子どもへの直接的なアプローチだけでなく、保護者・家族・地域社会への働きかけ、他の専門職との連携や相談なども実習の中で学びます。
臨床現場の作業療法士による指導を受けながら、作業療法の臨床実習を行います。
また、国家試験合格に向けた取り組みも行います。
施設での臨床実習に向け、作業療法評価や治療などの作業療法を実践し、臨床における作業療法士としての基礎的技能を身につけます。
授業と実習で学んだ専門知識と技術の総合的な理解を深めます。籐細工、紙加工、レザークラフト、織物など実際の作業療法に用いられる様々な「作業」を行いながら、臨床現場で的確に説明できる技能を再確認します。
音楽療法は、音楽を使った関わりとして広く用いられています。作業療法でも、作業の一つとして音楽をよく用います。ハンドベルを鳴らしたり、音楽に合わせて手拍子をしたり、ハミングで歌ったりすることが、基本動作や日常生活活動、また意欲・思考・注意など脳機能の向上につながります。授業では、音楽を治療的に使うための理論を学ぶのはもちろん、レクリエーションの一つとして、曲選びから場面設定も含んだ実践も行います。
音楽は記憶に与える影響も大きく、認知症の方などには、懐かしい音楽を聞くことで、当時の思い出が蘇り、かつての生き生きとした心を取り戻す人もいます。現場で音楽療法を取り入れた経験のある西田斉二先生は、統合失調症の方が鳴っている音楽に反応し、自ら部屋を出、活動量が増えていく様子を目の当たりにしたそうです。
さらに、楽器演奏では、各自楽器を任されることで、使命感や責任感が生まれ、演奏できたという達成感が様々なリハビリへのモチベーションにも繋がりました。いかにつらいリハビリを意欲的に取り組んでもらえるかが、作業療法士の腕の見せ所。楽しく続けてもらうリハビリの一つとして、今後ますます音楽療法の役割は広がっていくことでしょう。
作業療法士が楽器を演奏し、音楽を聴いてもらったり、伴奏をして合唱や合奏をしてもらったりする療法があります。